「スナック すー」へようこそ~緊急事態宣言を受けて~
とぼとぼと家路につく時に空を見上げると遠くに飛行機が見えました。
東京マラソン当選発表のうれしいニュースや横浜トライアスロンの開催をはらはら見守りながらもGo. Swim（GTCの朝スイム）も休業、レースも合宿も延期や中止の通知を受けてばかり。
…ああ、なんか遠いところに行きたいな。
その時ふと頭に流れた音楽はJET STREAM（深夜のラジオ放送）のあの曲です。
ここは五反田にあるノンアルコールのスナック。
羽田空港から少し離れているので機長の私は頻繁に通えないのが残念なのですが、GTCの朝スイムが開催される日の午前中にしか営業していない珍しいお店。
KONA完走者のすーママが切り盛りしています。
お客様もアスリートが多いようですね。
都内の緊急事態宣言を受けてお店も休業中だそうですが、これを機にお店の大掃除や模様替え、棚卸をすることにしたすーママ。
おやっ、密を避けてお客様がおひとり、お手伝いに来られたようですよ。
カランカラン…（ドアを開ける音）
すーママ（以下、す）：いらっしゃ～い。悪いわね、手伝いに来てもらって。
客B：ママ、お疲れさまです。
コロナ禍でなんだかがっかりすることが多いから一日一善でも心がけようかな、なんてね。お掃除は順調？
す：まあね。
一日一善、日頃の言動を良くしようというのはとてもいいことだわね。
でも善い行いは人に気づかれたらノーカウントなのよ。
客B：えっ、そうなの？
だからなのかな、善いことであれすごいことであれ、こっそり何かをする人って周りにとても多いような気がする。
す：せっかく来てもらったんだから、ちゃちゃっとやるわよ。
ガタガタ、ごそごそ、がさがさ、ふきふき…。
す：ふーっ。だいぶきれいになったしレイアウトもちょっと変えると新鮮ね。
客B：やった分だけその成果がすぐ目に見える形で確認できるっていいね。
仕事も練習もそうだといいのになあ。
す：そうねえ。でもまあ努力したことは報われるわよ。
客B：そうだといいけど報われないこともあるよね。そっちの方が多いのかもね。
す：…。
随分前にあなたのマンション前の激坂で坂道ダッシュをしている青年がいるって言ってたわよね。
客B：うん。しかもなぜかものすごく寒い日とか風の強い日、真っ暗な時間だったり何もかもうまくいかなくてがっかりしながら家路に着く時に限って見かけるんだよね。
それが不思議なんだよね。
す：その青年が「努力が報われないこともある。」って言ったらどうする？
客B：そんなことないよ！って言うよ。
通りすがりながら青年の夢や目標が叶いますようにって心の中でお願いしているし。
私もなんだか力もらえるし。応援してるもん。
す：…不思議よねえ。
同じ「努力が報われないこともある」というのに対して見ず知らずの青年には「そんなことないよ！」って思うのに自分自身には「報われない努力の方が多い」みたいな言い方になるのよね。
客B：…あっ、ほんとだ。
自分に対しては早く成果が出てほしいから焦っちゃうのかな。
す：あの青年を応援するように自分自身のことを応援できるといいわね。
客B：…うーん。そうだね。
今度見かけたら一緒に練習させてくださいって勇気を出して言おうかなってムリだけど。
す：まあ、ひと息つきましょう。
コーヒー入れるわ。プロテインもサービスするわよ。
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参考文献
運転者 未来を変える過去からの使者 / 喜多川 泰【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア｜オンライン書店｜本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)