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「スナックすー」へようこそ~ポッキーズに捧ぐ~

とぼとぼと家路につく時に空を見上げると遠くに飛行機が見えました。


…ああ、なんか遠いところに行きたいな。


その時ふと頭に流れた音楽はまたしてもJET STREAM(深夜のラジオ放送)のあの曲です。


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ここは五反田にあるノンアルコールのスナック。


羽田空港から少し離れているので機長の私は頻繁に通えないのが残念なのですが、五反田から駅近い施設を利用して御殿山トライアスロンクラブ(GTC)の朝スイムが開催される日の午前中にしか営業していない珍しいお店。

KONA完走者のすーママ(over古希)が切り盛りしています。

お客様もアスリートが多く、しかも悩み多きお年頃の方が多いようですよ。


カランカラン…(ドアを開ける音)


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すーママ(以下、す):いらっしゃ~い。


客F:ママ、ご無沙汰です。


す: ほんと、久しぶ…って、松葉杖!?…一体どうしたの?


客F:…どっこいしょ(椅子に座る)。


(ガシャン!)立てかけた松葉杖が倒れる音


あのね、ランのドリル(準備運動)で着地に失敗して足を思い切り捻って骨折したの。

3か月間活動停止って言われてね。

生まれて初めての松葉杖とギプス(実際はシャーネ)なんだ。


す: 3か月…。

カルシウム、ミネラル、ビタミンたっぷりの特製ドリンクを作るから、まずは一息つきなさいよ。


客F:ママ、ありがと。

骨折した足も痛いんだけど、松葉杖の歩行に苦戦していて。

手首や手のひら、あと松葉杖の衝撃で肋骨が…。

それと折れていない足も疲労困憊でね。

体の使い方がへたっぴなんだろうなー。

体重がどすこい!というのもあるんだろうけど。

ほんと、全世界の松葉杖の人と松葉杖卒業生を心から尊敬するよ。


…そうだ!

ママも同じものを飲もうよ。


す: ありがとう、いただくわ。

ポッキーズ(骨折者)に幸あれ、ね。


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客F:…ふー。

体に悪いものもおいしいけど、体に良いものもおいしいね。


す: ふふふ。そうね。

骨がくっつくのが待ち遠しいわね。

松葉杖で両手も使えなくて片足ではなにかと不便でしょう。


客F:そうなの!

マンションのゴミ出しとか郵便ポストに投函とか息絶え絶えに電車通勤とか、横断歩道を渡り切れないとかね。

骨折した足は筋肉が落ちて細くなると思ったら、使わないからむくんで、痛みよりむくみがしんどいんだよね。


私、H先生のリモートコーチング受けているんだけど、こんな状態だからお休みだろうなと思ったら筋トレメニューなんだよね。

しかもずっと同じメニュー。

私、筋トレとかストレッチとか、苦手なんだよねー。

取り組んでいる最中は効果や成果を感じられなくて。

でもサボるとてきめんにわかるところとか。


す: 骨折のおかげで苦手なことに真摯に向き合っているのね。


客F:…うーん。かなりげんなり、しぶしぶ。

筋トレが好きな人や継続できる人もほんとにほんとに心から尊敬するよ。

骨折してから尊敬する人が増えたよ!


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す:頑張っても効果を感じにくいと、やる気も下がるわよね。

筋トレの成果は数字とか目に見えるものの前に「感覚の変化」に気づくことが最初のポイントだと思うわ。


客F:筋トレの成果はまず感覚の変化に気づくこと…。

お腹が割れるとか体脂肪率が下がったり筋肉量が上がったり、楽にメニューをこなせるようになったらその成果を感じられるけれど、そんなに短期間で変化がないタイプなんだとしたら…。



す:いいこと?

年齢とともに「省エネ型の体」になっていくのよ。

筋肉量は減少傾向(特に速筋)とか、ホルモン分泌が低下して脂肪燃焼や回復力が落ちるとか、関節可動域・柔軟性が下がるとか…「省エネ型=効率優先型」の体にシフトしていると思うの。

省エネ体質は悪いことではなく「少ない刺激にもしっかり反応できる体」だとママは信じているわ。


若い頃のように力任せや量をこなすことで成果を出せていたけれど、それでは疲れるだけで成果が出にくくなるのよ。


若い頃は多少フォームが崩れても筋力でカバーできたとしても、シニアなわれわれはそれができなくなってきているから、動きや疲労に敏感にならざるを得ないのよ。


今こそ「動きの質」を高めるタイミングではなくて?


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客F:むむむ…。筋トレとかストレッチなどで「動きの質」を高めて感覚の変化に気づく、目に見える成果はその後なんだね。

それからスイム、バイク、ランにつなげる…。

なんだか遠い遠い道のりのような。


私、目に見える成果でしか判断していなかったから、感覚の変化に気づかずにすぐに諦めてしまいそう、もう諦めかかっている気もする。


す:こういう時こそそういう時なのよ。

トレーニングよりもリハビリの方が精神的にも辛いことが多いかもしれないわね。

これから先のことを考えると、ケガをしたらもう復帰できないかもしれない可能性だってあるんだから。


ケガや故障をしないことこそ、最高のトレーニングかもね。


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客F:痛い目に遭わないとわからない自分にとっては至難だよ、ケガをしないって。


す:練習以上にアフターケアがこれからますます重要なんでしょうけど、ケガや故障をする前にトレーニングを切り上げるというレジェンドのお話をママは聞いたことがあるわ。


客F:へえ、その感性がすごいね!

レジェンドは誰よりも身体能力が高くてハードな練習をしているから強くて速いのかと思っていたけれど。


それだけではなくて、感覚の変化を察知するのも優れているから、見えないパフォーマンスの向上も感じ取ってモチベーションも維持できて、故障する前にトレーニングを切り上げるから継続できるのかもね。


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